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赤外線通信
HP200LXをシリアル端末に

初版: 2004-03-29
最終更新日: 2004-06-29


SL-Zaurusと赤外線



SL-Zaurusシリーズには、 赤外線通信機能つき電話機を使ったダイヤルアップ接続や、 SLシリーズ・MIシリーズとのPIMデータ交換用のインタフェースとして 赤外線ポートが用意されています。 ここでは、その赤外線ポートの別の応用例を紹介します。

赤外線ポートの応用例

【シリアル端末】
赤外線ポートはOSから見れば普通のシリアルポート (/dev/ttyS1) なので、他のシリアルポート応用アプリケーションが ほとんどそのまま動きます。 ただし、注意すべき点には、以下のものがあります。 シリアル端末接続ようのプログラムであるgetty(8)を SL-Zaurusで動かして、 赤外線ポートにシリアル端末を接続する方法は、 HP200LXをシリアル端末にする で解説しています。 他の赤外線シリアルポートを有するマシンも同様に シリアル端末にすることができます。 残念なのは、最近のノートパソコンでは 赤外線ポートが搭載されなくなったことです。

【外部デバイス】
シリアル端末に限らず、赤外線ポートでIrDAが扱える (IrMCやIrCOMMを使わない無手順のものが使える) デバイスは、SL-Zaurusの外部デバイスとして使うことができます。 たとえば、 PS/2キーボード(IrDAアダプタ併用) を、外部デバイスとして活用することができます。

【携帯電話などのIrMCデバイス】
赤外線ポートを有する携帯電話では、電話帳やメモ、 あるいは内蔵カメラで撮影した画像などのデータを 赤外線通信で他のデバイスと交換する機能を持っているものがあります。 この携帯電話などで使われている赤外線通信機能は、 IrMCというプロトコルが使われています。 SL-ZaurusにおけるPIMデータ交換も、 実はこのプロトコルが使われているようです。

いくつかの制限はありますが、

といったデータのやりとりが可能でした (携帯電話のメーカやキャリアによっても異なるかもしれません)。

なお、SL-Zaurusでデータを受信すると、 「データ種別が不明」というメッセージがでることがあります。 しかし、これらのデータを Documents/applications/octet-stream/ディレクトリに保存して、 mewdecodeなどのツールでデコード (例: IrMCデータをJPEGに変換 ) すれば SL-Zaurusで利用することができるようになります。

補足: 「データ種別が不明」に分類されたファイルは、 「*.vnt」や「*.vmg」といった名前のファイルに保存されます。 これらのファイルの中身はただのテキストファイルです。 その形式は「VNOTE」や「VMSG」と呼ばれる IrMCプロトコルで使われているもので、 MIMEで使われるBASE64エンコーディングや Quoted-Printableが使われています。 また、このファイル形式はわりと単純で、 sed/awk/perlといったUNIXの伝統的なフィルタ群で扱いやすい構造です。 このため、MIMEのデコード機能を持つツールを使ったり、 Perlなどでちょっとマッサージ(笑)してやれば、 JPEG画像ファイルなどSL-Zaurusで直接扱える形式に簡単に変換できます。

【赤外線リモコン】
わたしは試したことないですが、 lircドライバという、 テレビやビデオなどの赤外線リモコン信号を送受信するドライバが あるそうです。

ハードウェア

【IrDAドングル】
「最近のノートパソコンには、赤外線ポートが装備されていない」と 上で書きましたが、それに代る商品として、 USBポートにとりつける小さな赤外線通信アダプタが販売されています。 NetBSDだとustir(4)ドライバなどで使えそうです(まだ試していません)。 NetBSDでustir(4)ドライバで使えました

【有線シリアル・IrDA変換】
RS232Cラインドライバでよく知られているマキシム社から発売されている MAX3131などのIrDAドライバを使うと、 「RS232C→IrDAアダプタ」 のような変換回路を比較的簡単に作れそうです。 なお、IrLAP/IrLMP/IrMCなどのプロトコルを効率良く使うには、 この回路案のようなものより、 ビットレートを動的に変更できるような回路を考えた方が よいかもしれません。 (通常、これらのプロトコルでは、 遅いビットレートでネゴシエーションを行い、 データ転送にはより速いビットレートを使うからです。)

【赤い糸電話】
赤外線通信は、ワイヤレスで非常に手軽ですが、 デバイスの位置がずれたりすると、 とたんに通信できなくなってしまうという弱点もあります。 これを解消する手段として、 プラスチック光ファイバを使った「赤い糸電話」と呼ばれる 「赤外線有線接続装置」が考案されました。 元々は、HP 100/200LX向けだったかと思います (原典が見つからない;^^)。 「装置」と書くとおおげさかもしれませんが、 要は双方の発光素子と受光素子を光ファイバでつなぐというものです。 ファイバが糸に見え、赤外線を使うことから、 「赤い糸電話」と呼ばれたのではないかと思いますが、 ちょっと記憶があいまいです。

2004-04-01追加情報: 参考文献[2]に記事が掲載されています。 (「赤い糸電話」って発明されて約10年なんですねぇ…。)

参考文献

  1. http://www.irda.org/standards/specifications.asp
  2. 関谷 博之, 恵庭 有; 『Column 赤い糸電話』, 「HP 200LX HARDWARE BIBLE」, (ソフトバンク, 1997/07), ISBN4-7973-0295-X, pp. 180-181.
  3. MARIS; 「対戦ゲームには赤い糸電話を!」, FYHPPC MES(7), 【達人への道】 HP100/200LX 使いこなし, #02607, (1994/10), [FHPPC LIB(1)#296 HP100/200LX使いこなし94/10/29-11/04]
  4. HP200LXでIrLAP/IrMCパケットを読む